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公立高校の合格力:神奈川県VS静岡県


近年の公立高校生の国公立大学の現役合格力は静岡県>>神奈川県という結果になりました。

 

たとえば、静岡県の沼津東(67)は国公立大学の現役合格率53%(東大5人)・磐田南(66)は60%(東大3人)が現役で国公立大に合格しており、32%(東大2人)の厚木(69)や27%(東大0人)の小田原(66)足下にも及びません。特に、沼津東の普通科の志願倍率は0.88で全入(磐田南も1.05倍でほぼ全入)にも関わらずこの実績は特筆に値します。

 

合格力の高い静岡県の高校には”理数科(定員40人)”があり、観察・実験やプレゼンなどを通して高い向学心や深い探求心などを養いながら数Ⅲ・物理・化学を高2で履修します。東京の本郷バレーに隣接する大手企業の研究所で日夜研究に没頭していた経験から、この教養やスピード感は難関大に入り社会人になったときに大いに役立ちます。

 

合格力の低い神奈川県公立高校にあって、本年度の翠嵐(75)国公立大合格率55%(東大44人)と好結果でしたが、静岡県の2.5倍に達する神奈川県公立高生4.6万人のトップ高なら、この程度の実績は当然です。昔の湘南はさらに高い実績を残していたし、この実績でも生徒数が1/2~2/3程度の神奈川御三家(聖光/栄光/浅野)には及ばないのが現実です。たとえば、難超関の医学部(医学科)の合格者は、聖光が現役62人(全体74人)・浅野23人(56人)・逗子開成19(63)・洗足34(54)・桐蔭学園25(52)・サレジオ26(38)などが続き、翠嵐は現役13人(全体26人)であり私立に完敗しています。中学受験で鍛えた上げた生徒たちに、易易と肩を並べることはできません。

 

翠嵐の好結果に比べ、(東大合格者一桁台の十数年前に比べると増えましたが、それでも)34%(東大10人)の湘南(74)の凋落ぶりは目を覆うばかりです。この高校の生徒たちは底力は有りそうですが、また、四年制高校と揶揄されても安易に現役志向には流されないと自負しているようですが、実際には、公立高校に有り勝ちな高校入試で燃え尽き症候群に陥る生徒が多いようです。その昔、毎年60~70名の東大合格者を輩出していた高校としては寂しい限りです。ただ、聖光や浅野を始めとする私立が台頭し、優秀な生徒を奪われている現状では仕方がないかもしれません。

 

神奈川県公立高No.3で40%(東大3人)の柏陽(72)は、本年度は近年になく好結果だったようで、HPで現役国公立大学合格者数をアピールしていますが、それでも、トップ2校に加えて富士・沼津東・清水東・韮山・磐田南など、実績で及ばない隣県の公立高校は7校以上あります。たとえば、柏陽(72)の現役国公立大学合格者数を富士(68)・清水東(66)・韮山(66)と比較すると、東大+京大+医学科=>8人:10人・8人・10人旧帝大=>19人:24人・27人・34人国公立大=>40%:58%・58%(161/280)・66%(185/280)、と隣県3校に完敗です。ただ、柏陽の近隣にも私立の中高一貫校(聖光・栄光・フェリス・横共・横双など)が林立していて人材を奪われているので、柏陽の実力をよく知る当校の先生たちは、”人材の少ない中、よくぞ善戦した”と拍手喝采しているのでしょう。

 

ユダヤ人は賢明で世界的に活躍する知識人が多いことで有名です。アインシュタインもビル・ゲイツもスティーブ・ジョブスもそうです。この栄光に反して、この民族は三千年以上にわたる迫害に晒されてきました。古くはBC13世紀の"出エジプト"やBC6世紀の”バビロンの捕囚”、近年では”アウシュビッツ収容所の強制労働”が有名です。彼らはこれらの苦難に立ち向かい乗り越えるべく、”教育”を非常に重んじ、教育熱心で、幼少期から熱心に高度な教育を受けます。日本でも教育熱心な家庭から、多くの優秀な人材が育っていることは”自明の理”です。

 

もし、本と服を汚したら、まず本から拭きなさい。

 怠けるものの元には何も残らない。真面目に働くものは宝を得ることができる。

土地や財産は奪われたら終わりだ。頭の知識だけは奪われない。

出会った人すべてから、何かを学べる人が最も賢い。

 

本県(特に県西)の公立高校生たちは、勤勉を怠り勉学意欲が低い、と感じることがままあります。”勉強しないで好成績を修める者が優秀だ”と勘違いしている世間知らずで溢れていますが、まさに、それを裏付ける結果となりました。楽して大学に進学しようと、労を惜しむから隣県の高校生に圧倒され、結果として、(勉強の負担は重いが、安い学費で高い教育を受けられる)国公立大学の合格者が少ないのです。本人や家族の将来そして日本の近未来は若者にかかっています。その一歩として、本県の公立高校生たちは隣県の取り組みを参考にするとよいでしょう。 


2021年度の公立高校の偏差値ランキング

(高校偏差値.net)


[神奈川県公立高校]

 

募集人員(全日制) 39,730 受験者 46, 270 合格者 38,772 倍率1.19

高校の数(全日制) 146校 偏差値60以上 33校

 

75 横浜翠嵐

74 湘南

72 柏陽

69 横浜緑ヶ丘、 厚木

68 横浜サイエンス、川和、相模原、多摩、

67 横須賀、希望ヶ丘、光陵、平塚江南

66 横浜平沼、鎌倉、小田原、神奈川総合、大和

64 横浜国際、茅ヶ崎北陵

63 金沢、市ヶ尾、追浜

62 桜丘、

61 横浜市立南、海老名、秦野、生田、大船、相模原弥栄

60 戸塚、七里ガ浜、松陽 

[静岡県公立高校]

 

募集人員 19,015 志願者 18,868 志願倍率 0.99

高校の数 99校 偏差値60 以上 16校

 

71 静岡

70 浜松北

68 富士

67 沼津東、浜松市立

66 清水東、藤枝東、韮山、磐田南、浜松西

64 静岡東

63 三島北

62 伊豆中央、掛川西、静岡市立、浜松南

59 袋井、富士東

・・・

57 焼津中央



公立の高校生数は、神奈川県が静岡県の約2.5倍。

公立高校の密度は、神奈川県が静岡県の約1.5倍(一校当り)。※(46,270/18868)÷(146/99)≒ 1.5

偏差値上位校数は、神奈川県が静岡県の約2.1倍。※ 偏差値60以上は 33÷16≒2.1

このデータについては、神奈川県>>静岡県


国公立大学の現役合格者数

現役合格者数(現役+既卒)/生徒数

(左)2021年度、(右)2020年度。 *は、(左)2020年度、(右)2019年度


75 翠嵐  198(248)/357[55%] 154(217)/358[43%]

74 湘南  123(214)/358[34%] 095(167)/358[26%]*

72 柏陽  127(150)/314[40%] 102(140)/316[32%]

69 厚木  114(133)/358[32%] 101(133)/358[28%]

68 川和  085(100)/317[27%] 091(107)/319[29%]

・・・

67 平塚江南    (081)/318                 (069)/318

66 小田原 087(108)/318[27%] 075(090)/320[23%]

70 浜松北 159(238)/360[44%] 182(286)/360[51%]

71 静岡  136(147)/320[43%] 129(166)/320[40%]*

68 富士  184(202)/320[58%] 196(217)/327[60%]

67 沼津東 149(174)/279[53%] 140(156)/283[49%]*

66 磐田南 181(202)/290[62%] 172(207)/290[59%]

・・・

63 三島北 146(150)/317[46%] 115(119)/317[36%]

62 掛川西 158(168)/318[50%] 114(129)/318[39%]



静岡や浜松北は進学校として知られていますが、掛川西(62)偏差値が低く(県外では)無名です。それでも50%(旧帝大16人)と(理数科効果もあり)高い合格力を達成していますまた、三島北(63)は普通科のみですが46%(旧帝大9人)と、こちらも高い合格力を達成しています。高校入学時の偏差値が西湘レベルの焼津中央(57)でさえ国公立大合格者数129人で毎年京大などの旧帝大にも合格し偏差値66の小田原を超えています。これらの好結果は、高校生たちが高い向学心で勉学に励んでいる証です。

 

27%(旧帝大8人)の小田原(66)これらの静岡の無名高にも後塵を拝する体たらくです。平塚江南はさらにひどい結果で、SSH指定を受けながらこの程度とは開いた口がふさがらない。七里ガ浜・藤沢西・秦野・西湘は、勤勉を怠り推薦に頼りすぎるから国公立大にはほとんど合格できない。県西の高校生たちを指導して、頭の回転が遅いのは元より、それ以上に覇気のなさを痛感します。向学心が向上し努力すれば、頭の回転もよくなります。小田原も江南も県西や平塚以外では無名ということを肝に銘じ高校進学で満足せずに精進することを期待したいところです。